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フェルミ推定の例題と解き方

所有アプローチと存在アプローチ

フェルミ推定には、誰がどれだけ持つかを考える所有アプローチと、どこにどれだけ必要かを考える存在アプローチがあります。使い分け方を整理します。

所有アプローチの考え方

所有アプローチは、誰がどれだけ持つかを考える型です。スマートフォン、車、家電などに向いています。世帯数や人口といった母数に対して、保有率や1人あたりの平均保有台数を掛け合わせることで、対象の総数を概算します。個人や世帯の生活実感に近いテーマであれば、保有率の仮定を自分の身の回りの状況から類推しやすく、説得力のある数字を置きやすいという利点があります。

例えば「日本にある洗濯機の台数」を考える場合、世帯数に対してほぼ全世帯が1台以上保有していると仮定できるため、世帯数にごく近い数字が答えの目安になります。逆に2台目以降を保有する世帯の割合まで考慮すると、より精度の高い推定に近づけることができます。

所有アプローチを使う際は、法人や施設が保有する分を見落としていないかも確認しましょう。個人保有だけでなく、オフィスや店舗が保有する分を別立てで加える必要がある問題も少なくありません。

所有アプローチで迷ったときは、まず自分の家族や身の回りの保有状況を思い浮かべると、現実的な保有率のイメージがつかみやすくなります。

存在アプローチの考え方

存在アプローチは、どこにどれだけ必要かを考える型です。電柱、信号機、店舗数などに向いています。面積や道路の距離、人口密度といった単位あたりに、設置密度を掛け合わせることで対象の総数を概算します。個人が所有するものではなく、社会インフラとして一定の基準で配置されているものを推定する際に適した考え方です。

例えば「ある都市にある信号機の数」を考える場合、主要な交差点の数を道路の密度から推定し、そのうち信号機が設置されている割合を掛け合わせるという流れになります。個人の保有率では説明できないテーマほど、存在アプローチの出番になります。

存在アプローチでは、都市部と郊外で密度が大きく異なることが多いため、対象地域を一律に扱ってよいか、エリアを分けて考えるべきかを判断することも精度を左右します。

存在アプローチでは、地図をイメージしながら密度を考えると、感覚的に桁のずれに気づきやすくなります。

どちらの型を選ぶべきかの判断基準

同じ問題でも複数の型で検算できるため、最初に主アプローチを決め、最後に別視点で桁を確認する進め方が有効です。判断の目安としては、対象が個人や世帯に紐づくものであれば所有アプローチ、対象が地域や施設に紐づくものであれば存在アプローチが自然な入口になります。

例えばコンビニの店舗数を考える場合、所有アプローチでは説明しづらいため、人口あたりの店舗密度で考える存在アプローチが適しています。逆にスマートフォンの保有台数は、世帯あたりの保有率で考える所有アプローチのほうが自然です。この判断を素早く行えるようになると、初見の問題でも迷う時間を短縮できます。

判断に迷う問題も存在します。そうした場合は、両方のアプローチで簡単に式を立ててみて、より少ない仮定で説明できるほうを主アプローチとして選ぶという基準が実戦的です。

判断基準に慣れるまでは、問題を見た瞬間に両方のアプローチを頭の中で試してみる習慣をつけると上達が早まります。

両方のアプローチで検算する練習

最初に選んだアプローチだけで満足せず、もう一方のアプローチでも概算し、桁が大きくずれていないかを確認する練習を重ねると、検算の精度が上がります。特に、どちらのアプローチでも解けそうな問題については、両方の式を作ってみることで、それぞれの仮定がどれだけ答えに影響するかを体感できます。

この練習を重ねることで、初見の問題でもどちらの型が適しているかを瞬時に判断できるようになります。慣れてきたら、あえて不向きなアプローチで解いてみて、なぜ説明しづらいのかを言語化してみると、判断基準がより明確になります。

2つのアプローチで出した答えの桁が大きく異なる場合は、どちらかの仮定に誤りがある可能性が高いというサインです。この気づきを得られること自体が、検算の最大の価値だといえます。

検算の際に大きな差が出た場合は、どちらの仮定がより現実的かを自分の生活実感に照らして判断すると良い練習になります。

まとめ

所有アプローチは個人や世帯に紐づく対象、存在アプローチは地域や施設に紐づく対象に適しています。主アプローチを決めたうえで、もう一方でも検算する習慣をつけましょう。