社会課題解決ケースの解き方
社会課題解決ケースは、関係者が多い社会課題を、実行可能な施策に落とすお題です。Publicケースと近い性質を持ちながら、より広い関係者を扱う点に特徴があります。
社会課題解決ケースの難しさ
社会課題解決ケースは、「少子化を食い止めるには」「フードロスを削減するには」といった、社会全体に関わる大きな課題を扱うお題です。Publicケースが行政という単一の主体を中心に考えるのに対し、社会課題解決ケースは行政、企業、個人など、複数の主体が絡み合う点が特徴です。
関係者が多いテーマほど、論点が発散しやすく、あれもこれもと施策を並べただけの回答になりがちです。社会課題解決ケースで評価されるのは、課題の全体像を俯瞰したうえで、どこか一点に絞って実行可能な提案に落とし込む力です。
社会課題は、それ単体で完全に解決することが難しいテーマがほとんどです。面接の短い時間で「解決策を完成させる」ことよりも、限られた時間の中でどこまで論点を整理し、筋の通った打ち手を示せるかが評価の対象になります。
社会課題解決ケースは、正解のない問題に対して自分なりの立場を示す力も見られています。中立を装って何も踏み込まない回答より、根拠を持って一つの方向性を示す回答のほうが評価されやすい傾向があります。
対象者・地域・評価指標を自分で置く
社会課題解決ケースの前提確認では、解決したい社会課題の対象者、地域、評価指標を自分で置くことが出発点になります。「少子化対策」であれば、対象を子育て世帯全体にするのか、特に第一子を持つことをためらう層にするのかによって、その後の分析が大きく変わります。
評価指標の設定も重要です。出生率そのものを指標にするのか、子育てへの不安の軽減を指標にするのかによって、扱うべき施策の種類が変わります。社会課題は指標が複数考えられることが多いため、自分がどの指標を重視するかを明確に宣言しましょう。
地域の絞り込みも忘れてはいけません。都市部と地方では、同じ社会課題でも背景にある事情が異なることが多く、お題に地域の指定がない場合は、代表的な地域像を仮定して進めるとよいでしょう。
前提を絞り込む際は、課題の大きさに圧倒されて何も決められなくなることを避けるため、多少大胆でも自分なりの切り口を早めに決めて進める姿勢が大切です。
発生原因を人・仕組み・環境・インセンティブに分ける
社会課題解決ケースの分解では、発生原因を人、仕組み、環境、インセンティブに分けて考えると整理しやすくなります。人の要因は意識や知識の不足、仕組みの要因は制度や手続きの不備、環境の要因は物理的・地理的な制約、インセンティブの要因は行動を変える動機の欠如を指します。
フードロスの問題であれば、消費者が食品を余らせてしまう意識の問題(人)、賞味期限表示や在庫管理の仕組みの問題(仕組み)、店舗や家庭の保存環境の問題(環境)、余った食品を出しても損をしない仕組みの欠如(インセンティブ)というように、複数の切り口で原因を洗い出せます。
4つの切り口すべてに触れる必要はなく、お題の性質に応じて、最も改善余地が大きいと考えられる原因を1つか2つに絞り込み、そこを重点的に深掘りする進め方が実戦的です。
原因を分解したら、それぞれの原因がどの主体(行政、企業、個人)に働きかけることで解消できるかを整理すると、次の打ち手立案にスムーズにつながります。
行政・企業・個人の役割と実行上の制約
社会課題解決ケースの打ち手評価では、行政、企業、個人の役割と実行上の制約を整理することが欠かせません。一つの主体だけに解決を委ねる提案は非現実的になりがちで、複数の主体がどう連携するかまで踏み込めると、実務に近い提案になります。
実行上の制約としては、予算、法律や制度上の制約、合意形成にかかる時間などが代表的です。社会課題は関係者が多いぶん、実行までの調整コストが高くなりやすい点を踏まえた現実的な提案が求められます。
打ち手を評価する際は、ImpactとFeasibilityに加えて、どれだけ多くの関係者を巻き込む必要があるかという観点を加えると、社会課題特有の実行可能性を評価しやすくなります。
最後に、提案した施策がどの主体の、どの行動を変えることを狙ったものかを一言でまとめると、複雑な社会課題に対しても筋の通った結論として伝わります。
まとめ
社会課題解決ケースは、対象者・地域・評価指標を定義したうえで、発生原因を人・仕組み・環境・インセンティブに分けて特定し、複数の主体の役割と実行上の制約を踏まえて打ち手を評価する型で進めます。