食品ロスを減らすには|ケース面接の回答例と進め方
家庭と事業者の食品ロスを減らす方法を提案してください。
自分で設定する論点
- 解決したい社会課題の対象者、地域、評価指標を自分で置く
- 発生原因を人、仕組み、環境、インセンティブに分けて考える
- 行政、企業、個人の役割と実行上の制約を整理する
- 家庭系と事業系のどちらに注力するか、配分を自分で決める
面接官への確認例
- 主体は国・自治体の政策立案と置いてよいか
- 食品ロスの内訳データ(家庭系と事業系がほぼ半々)は前提にしてよいか
- 目標水準(10年で半減など)を置いてよいか
行き詰まったときの段階ヒント
ヒント1を開く
食品ロス約500万tは家庭系と事業系(小売・外食・製造)がほぼ半々。発生場所で処方箋が違う
ヒント2を開く
事業系の構造要因: 欠品を許さない商慣習(3分の1ルール)、需要予測の誤差、食べ残し
ヒント3を開く
家庭系は「買いすぎ・作りすぎ・期限の誤解(賞味と消費)」という行動の問題
考え方
- 発生源(家庭/小売/外食/製造)で分解し、それぞれの発生メカニズムに施策を対応させる
- 事業系は商慣習・予測精度という構造に、家庭系は行動変容に、と性質の違いを踏まえる
- 削減しきれない分の受け皿(フードバンク・飼料化)まで含めた全体設計にする
解答の流れ
- 前提: 国内の食品ロス約500万tを10年で半減する政策を設計する、と置く
- 分解: 家庭系(約半分)と事業系(小売・外食・製造)。事業系は商慣習と予測誤差、家庭系は行動が主因
- 打ち手: A案 事業系の構造改革(納品期限の3分の1ルール見直し、AI需要予測の導入支援、ダイナミック値引きの標準化)、B案 家庭系の行動変容(賞味期限の正しい理解の啓発、小容量販売、食べきりレシピのアプリ連携)、C案 受け皿の整備(フードバンクの物流支援・税制優遇、飼料/肥料化のリサイクル網)
- 評価: A案は量が大きく制御しやすい事業系に直効。B案は効果測定が難しいが半分を占める以上不可避。C案は削減できない分の補完
- 推奨: 事業系の商慣習改革を先行させ、家庭系はナッジ型施策、受け皿整備を並行する
回答例
【前提】国内の食品ロス約500万tを10年で半減する政策を、国・自治体の立場で設計します。 【現状分析】食品ロスは家庭系と事業系がほぼ半々です。事業系の主因は、欠品を許さない商慣習(納品期限の3分の1ルール、定番カットの恐れによる過剰生産)と需要予測の誤差、外食の食べ残しです。家庭系は買いすぎ・作りすぎ・賞味期限と消費期限の混同という行動要因が主です。発生メカニズムが違うため、処方箋も分ける必要があります。 【ボトルネック】事業系ではロスを生む商慣習が個社では変えられないこと、家庭系では行動変容の打ち手が啓発止まりなことです。 【打ち手】1. 事業系の構造改革: 納品期限ルールの業界横断的な緩和(国が旗振り)、中小事業者へのAI需要予測導入支援、時間帯別値引き・見切り販売の標準化。2. 家庭系のナッジ: 「賞味期限は美味しさの目安」の表示改善、小容量・ばら売りの推進、買い物前の在庫確認を促すアプリ・冷蔵庫連携。3. 受け皿の整備: フードバンクへの寄付の税制優遇と物流支援、未利用食品の飼料・肥料化ルートの拡充。 【評価と推奨】事業系の商慣習改革は、個社の努力では動かない協調問題を政策が解く領域であり、量的インパクトも大きいため最優先です。家庭系は効果測定が難しいものの半分を占める以上避けられず、啓発よりも「小容量販売・表示改善」といった環境側の変更(ナッジ)を軸にします。推奨は、事業系の構造改革を先行させ、家庭系ナッジと受け皿整備を並行する三層構成です。
打ち手の評価表
| 打ち手 | Impact | Feasibility | 期間 | リスク |
|---|---|---|---|---|
| 納品期限等の商慣習改革・需要予測支援 | 高 | 中 | 2〜3年 | 欠品増への小売の抵抗 |
| 家庭向けナッジ(表示・小容量・アプリ) | 中 | 高 | 1〜2年 | 効果の測定が難しい |
| フードバンク・リサイクルの受け皿整備 | 中 | 高 | 1〜2年 | 衛生管理・責任分界の設計 |
よくあるミス
- 「もったいない意識の啓発」だけで構造要因に触れない
- 家庭系と事業系を区別せず、一律の施策を並べる
- フードバンク寄付を万能視し、衛生・責任・物流コストの課題に触れない
面接官の深掘り質問
商慣習の見直しに小売が抵抗したら?
欠品リスクを負うのは小売という構造を認め、業界一斉の切り替え(協調)と、先行企業の認証・消費者への見える化で「正直者が損しない」設計にする、と答える。
食品ロス削減は誰の利益になりますか?
事業者は廃棄コスト減、家庭は食費節約(年数万円)、自治体は処理費減、環境はCO2減。損する主体がほぼいない政策である一方、変化コストだけが障壁、と整理する。
評価ポイント
- 家庭系・事業系の構成比を踏まえて分解できた
- 3分の1ルールなど商慣習という構造要因に踏み込めた
- 啓発でなくナッジ(環境側の変更)を家庭系の軸にできた
- 削減しきれない分の受け皿まで全体設計できた