利益率改善ケースの解き方
利益率改善ケースは、売上総利益、販管費、固定費、変動費から利益率を改善する方法を考えるお題です。売上向上とは異なるコスト側の視点が必要になります。
利益率改善ケースの特徴
利益率改善ケースは、「ある企業の営業利益率を5ポイント改善するには」といった形で出題されます。売上向上ケースが「増やす」方向の施策を中心に考えるのに対し、利益率改善ケースは売上を維持しながらコスト構造を見直す、あるいは収益性の高い事業構成に変えるという視点が中心になります。
利益率という指標は、売上とコストの両方が影響するため、分解の入口を間違えると、売上向上ケースと同じ議論を繰り返してしまうことがあります。利益率改善では、まずコスト構造に目を向けるという意識の切り替えが重要です。
同じ「利益を改善する」というお題でも、売上総利益を改善したいのか、営業利益を改善したいのかによって、見るべきコストの範囲が変わります。前提確認の段階でこの違いを明確にしておくことが、その後の分解の精度を左右します。
利益率改善は、コスト削減ケースと隣接するテーマでもあります。両者の違いは、利益率改善が売上とコストの両面から利益を見るのに対し、コスト削減はコスト構造そのものの効率化に焦点を絞る点にあります。
改善したい利益指標と対象事業を決める
利益率改善ケースの前提確認では、改善したい利益指標と対象事業を自分で決めることが出発点になります。売上総利益率なのか、営業利益率なのか、最終利益率なのかを最初に明確にしないと、途中で扱うべきコスト項目が定まりません。
対象事業についても、複数事業を持つ企業であれば、どの事業を対象にするかで見るべきコスト構造が大きく変わります。お題で特定の事業が示されていない場合は、主力事業を対象にすると仮定し、その理由を一言添えましょう。
利益指標を定めたら、その指標がどのような項目で構成されているかを頭の中で整理してから分解に進みます。売上総利益であれば売上原価、営業利益であれば販管費まで含めて考える必要があります。
前提の置き方に迷った場合は、「特に指定がなければ営業利益率の改善を目指すと仮定します」のように、比較的扱いやすい指標を自分で選んで宣言すると、スムーズに分析に移れます。
粗利・販管費・固定費・変動費のどこに余地があるか
利益率改善ケースの分解では、粗利、販管費、固定費、変動費のどこに余地があるか仮説を置くことが中心になります。粗利であれば原価率や値引き率、販管費であれば人件費や広告宣伝費、家賃などの内訳を確認します。
固定費と変動費を分けて考えることも重要です。固定費は売上の増減に関わらず一定額かかるため、規模の経済が働きやすい一方、変動費は売上に連動するため、削減の効果が売上規模によって変わってきます。この違いを踏まえて、どちらに手をつけるべきかを判断します。
複数のコスト項目に同時に切り込もうとすると議論が浅くなるため、業界平均や競合との比較から、特に見劣りしていそうな項目を1つ2つに絞って深掘りする進め方が実戦的です。
コスト削減だけでなく、収益性の高い商品や事業への構成比の見直しという切り口も、利益率改善では有効です。全体の利益率は、個々の商品や事業の利益率だけでなく、その構成比によっても変わることを意識しておきましょう。
売上減・品質低下・顧客満足への影響を評価軸に含める
利益率改善ケースの打ち手評価では、売上減、品質低下、顧客満足への影響を評価軸に含めることが欠かせません。コスト削減は行き過ぎると、商品やサービスの品質を落とし、結果的に売上減を招くリスクがあります。
特に人件費や原材料費の削減を提案する場合は、従業員のモチベーションや商品品質への影響にも触れておくと、短期的な数字だけを見ていない、バランスの取れた提案として評価されやすくなります。
打ち手を評価する際は、ImpactとFeasibilityに加えて、その施策が顧客体験や従業員体験にどの程度の悪影響を及ぼすかという観点を加えると、実務に近い評価軸になります。
最後に、コスト削減と収益性向上を組み合わせた提案として、短期的に削れる部分と、中長期的に事業構成を見直す部分を分けて結論づけると、一貫性のある回答になります。
まとめ
利益率改善ケースは、改善したい利益指標と対象事業を定義したうえで、粗利・販管費・固定費・変動費のどこに余地があるかを見極め、売上減や品質低下への影響を踏まえて打ち手を評価する型で進めます。