地方都市の空き家を減らすには|ケース面接の回答例と進め方
自治体が空き家問題を改善する打ち手を考えてください。
自分で設定する論点
- 誰のどの困りごとを改善するのか、対象者と地域を自分で絞る
- 需要側、供給側、制度、行動変容のどこから見るか決める
- 予算、期間、関係者、安全性など、制約条件を自分で置く
- 危険な空き家の除去か、空き家全体の削減かを定義する
面接官への確認例
- 目的は倒壊等の危険除去か、空き家総数の削減か、移住促進の裏返しか
- 対象は市街地の住宅か、郊外・集落部も含むか
- 自治体の予算規模と、条例制定の権限は使える前提か
行き詰まったときの段階ヒント
ヒント1を開く
空き家をライフサイクルで分解: 発生(相続・転居)→放置(意思決定停滞)→活用/解体という流れのどこを断つか
ヒント2を開く
所有者が動かない理由: 解体費(数百万円)、固定資産税の住宅用地特例(更地にすると税が上がる)、相続未登記
ヒント3を開く
全空き家を一律に扱わず、危険度と活用可能性の2軸で分類すると施策が対応づく
考え方
- 空き家を発生→放置→処分のライフサイクルで捉え、放置の原因を特定する
- 危険度×活用可能性のマトリクスで物件を分類し、類型ごとに施策を対応させる
- 所有者のインセンティブ構造(税制・解体費)に踏み込んで実効性を担保する
解答の流れ
- 前提: 目的を「危険空き家の解消」と「活用可能物件の市場流通」の2つに整理し、5年計画と置く
- 現状分析: 空き家が放置される原因は、所有者側の解体費負担・税制の逆インセンティブ・相続の未整理に集約される
- 物件を危険度×活用可能性で4分類: 危険×活用不可→解体促進、良好×活用可→流通促進、が主戦場
- 打ち手: A案 空き家データベース化と所有者への個別アプローチ(相談窓口一体型)、B案 解体費補助+跡地活用セット、C案 空き家バンクと改修補助による移住・賃貸マッチング
- 評価: A案は全施策の土台。B案は財源が要るが危険除去に直効。C案は需要のある立地に限定して投資
- 推奨: データベース化を先行し、危険物件は代執行も含む解体促進、優良物件は移住政策と束ねて流通させる
回答例
【前提】目的を(1)倒壊など危険空き家の解消と(2)活用可能な空き家の市場流通の2つに分け、5年での改善を目指します。 【現状分析】空き家は「発生→放置→活用/解体」のライフサイクルで見ると、問題は放置の段階に集中しています。所有者が動かない理由は、数百万円の解体費、更地にすると固定資産税が上がる住宅用地特例、相続未登記で意思決定できない、の3つが典型です。つまり所有者のインセンティブが放置に向いて設計されてしまっています。 【ボトルネック】自治体が所有者を特定・分類できておらず、個別の働きかけができていないことが実行上の最大の制約です。 【打ち手】1. 空き家の危険度×活用可能性でのデータベース化と、所有者への相談窓口一体型の個別アプローチ、2. 危険物件への解体費補助と跡地活用(ポケットパーク・駐車場)のセット化、3. 活用可能物件の空き家バンク登録と改修補助による移住者・子育て世帯への賃貸マッチング、を考えます。 【評価と推奨】データベース化は全施策の前提となる土台で、費用も小さい。解体補助は財源が必要ですが危険除去に直結します。空き家バンクは需要のある立地でしか機能しないため、対象を絞ります。推奨は、初年度にデータベースと個別通知を整え、危険物件は特措法に基づく勧告・代執行を背景に解体を進め、優良物件は移住促進策と束ねて流通させる、という分類対応型の実行です。
打ち手の評価表
| 打ち手 | Impact | Feasibility | 期間 | リスク |
|---|---|---|---|---|
| 空き家DB化と所有者への個別アプローチ | 高 | 高 | 1年 | 所有者特定に手間(相続未登記) |
| 解体費補助+跡地活用セット | 中 | 中 | 2〜3年 | 財源負担とモラルハザード |
| 空き家バンク+改修補助での流通促進 | 中 | 中 | 2〜5年 | 需要のない立地では機能しない |
よくあるミス
- 「リノベして若者を呼ぶ」など、需要のない立地でも通用するかの検証がない施策一本槍
- 所有者がなぜ放置するかのインセンティブ分析を飛ばす
- 行政の限られた予算・人員という制約を無視した総花的な提案
面接官の深掘り質問
解体補助は「ゴネ得」を生みませんか?
補助対象を危険度基準で限定し、勧告・代執行(費用は所有者請求)という強制側の手段とセットにすることでモラルハザードを抑える、と制度設計で答える。
空き家は今後も増え続けます。根本的にはどうすべきですか?
発生側(相続時の登記義務化・住み替え時の市場流通促進)とまち側(立地適正化=居住エリアの集約)に踏み込む。対症療法と構造対策を分けて答える。
評価ポイント
- 空き家をライフサイクルで捉え、放置の原因(税制・費用・相続)に踏み込めた
- 危険度×活用可能性の分類で施策を対応づけられた
- 所有者特定というデータの土台に気づけた
- 法的手段(特措法)と支援策の組み合わせを設計できた