物流会社の配送コストを下げるには|ケース面接の回答例と進め方
宅配便を扱う物流会社が、サービス水準を保ちながら配送コストを下げる方法を考えてください。
自分で設定する論点
- 削減対象のコスト範囲と守るべき品質を自分で定義する
- 発生量、単価、工程、稼働率のどこに無駄があるか分解する
- 短期で削れるものと中長期で仕組みを変えるものを分けて考える
- ラストワンマイル(個宅配送)が主戦場という前提を置くか決める
面接官への確認例
- 対象はラストワンマイル(個宅への配送)のコストでよいか
- サービス水準の定義は(翌日配達・時間帯指定の維持、と置いてよいか)
- ドライバー不足(2024年問題)への対応も含むか
行き詰まったときの段階ヒント
ヒント1を開く
配送コスト = 配達件数あたりコスト = ドライバー時間 ÷ 配達完了件数。「1時間に何件配れるか」が全て
ヒント2を開く
生産性を殺す最大の要因は再配達(1〜2割)と、荷物の細かい時間指定による非効率なルート
ヒント3を開く
打ち手の方向: 再配達を減らす(置き配・ロッカー)、1回で運ぶ量を増やす(積載率・共同配送)、走る距離を減らす(ルート最適化)
考え方
- コストを「ドライバー時間÷配達完了件数」という生産性の式に還元する
- 再配達・ルート・積載率という3つの非効率に分解する
- 顧客行動を変える施策(置き配のデフォルト化)には、インセンティブ設計をセットにする
解答の流れ
- 前提: 宅配のラストワンマイルコストを、翌日配達水準を保ちながら2年で15%削減、と置く
- 分解: 配達単価=ドライバー時間÷完了件数。非効率の3大要因は再配達(約1割強)、細切れの時間指定によるルート制約、軽い荷物での低積載
- 打ち手: A案 再配達の撲滅(置き配のデフォルト化+ポイント還元、宅配ロッカー・コンビニ受取の拡充)、B案 AIルート最適化と時間指定枠の再設計(幅の広い枠へ誘導)、C案 共同配送(同エリアの他社荷物との混載・拠点共有)
- 評価: A案は再配達1割減=生産性1割改善に直結し、投資も小さい。B案はシステム投資で着実。C案は効果が大きいが競合との調整が難所
- 推奨: A案を最優先で実行し、B案を並行導入。C案は過疎地域から段階的に始める
回答例
【前提】宅配のラストワンマイル配送コストを、翌日配達・時間帯指定というサービス水準を保ったまま2年で15%削減する目標を置きます。 【現状分析】配送コストの本質は「ドライバーの1時間あたり配達完了件数」です。これを下げている要因は3つあります。(1)再配達: 全体の1割強を占め、同じ家に2度走る純粋な無駄。(2)ルート制約: 細かい時間指定が最短ルートを壊す。(3)積載率: 軽くかさばる荷物で台数だけが増える。 【ボトルネック】最大かつ最も制御可能なのは再配達です。 【打ち手】1. 再配達の削減: 置き配をデフォルト選択にし、置き配・ロッカー受取にポイント還元を付ける。マンションの宅配ボックス・駅ロッカー網を拡充する。2. ルートと指定枠の再設計: AIによる動的ルート最適化と、「午前/午後」など幅広の時間枠への誘導(狭い枠は有料化)。3. 共同配送: 荷量の少ない過疎エリアで他社と混載・拠点共有を行い、走行距離あたりの荷物量を上げる。 【評価と推奨】再配達が1割減れば生産性はほぼ1割改善し、アプリ改修とインセンティブ費用だけで実行できるため、費用対効果が最も高い施策です。ルート最適化は既存技術で確実に数%を積めます。共同配送は独禁法・競合調整のハードルがありますが、2024年問題でドライバー総量が減る中、過疎地から業界標準になっていく領域です。推奨は、置き配デフォルト化を軸に、ルート最適化を並行し、共同配送を過疎地で実証する三段構えです。
打ち手の評価表
| 打ち手 | Impact | Feasibility | 期間 | リスク |
|---|---|---|---|---|
| 置き配デフォルト化・受取拠点拡充 | 高 | 高 | 6カ月 | 盗難・誤配クレーム |
| AIルート最適化・時間枠再設計 | 中 | 高 | 1年 | システム投資・指定客の不満 |
| 過疎地の共同配送 | 高 | 低 | 2〜3年 | 競合調整・品質責任の所在 |
よくあるミス
- 「ドライバーの給料を下げる」など人手不足の現実と逆行する施策
- ドローン・自動運転など未成熟技術に依存した計画
- 再配達の存在に触れず、ルートの話だけで終わる
面接官の深掘り質問
送料無料の文化が問題の根本では?
「無料」表示が過剰な小口・急ぎ需要を生む。荷主(EC事業者)への従量課金・配送オプションの価格シグナルで需要側を適正化する、と価格メカニズムで答える。
2024年問題でドライバー時間が減ります。コスト削減と両立しますか?
生産性向上(件数/時間)はコスト削減と労働時間短縮の共通解。むしろ規制が置き配・共同配送の社会的受容を後押しする、と制約を追い風に読み替えて答える。
評価ポイント
- コストを「時間あたり完了件数」という生産性の式に還元できた
- 再配達という最大の無駄を定量感覚とともに特定できた
- 顧客の行動変容にインセンティブ設計をセットできた
- 共同配送の調整難度と時間軸を正しく評価できた