SaaS企業の解約率を改善するには|ケース面接の回答例と進め方
中小企業向け業務SaaSを提供する企業が、月次解約率を下げる方法を考えてください。
まずは自分で解いてみましょう。解答・解説は開くまで表示されません。
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回答の要点
- 構造化
- 月の解約30件を、契約開始から3カ月以内18件と4カ月目以降12件に分解。
- ボトルネック
- 初期設定のつまずきと、その後の利用低下を解約の主因とする仮説。
- 打ち手
- 初期設定の支援と利用が減った顧客への対応を組み合わせる。想定どおりなら解約率は3%から約1.45%へ改善。
面接官への確認例
- 現在の月次解約率はどの程度か(仮に3%としてよいか)
- 解約の主因データ(理由別内訳)はあるか
- 対象は全顧客か、特定のプランや顧客層か
行き詰まったときの段階ヒント
ヒント1を開く
現状の月次解約率(3%など)と目標値を仮決めする。全顧客を見るか、特定のプランや顧客層に絞るかも決める
ヒント2を開く
月の解約率 =(3カ月以内の解約件数 + 4カ月目以降の解約件数)÷ 月初の有料契約数
ヒント3を開く
着目した理由:月30件の解約のうち18件が開始3カ月以内で、その70%が設定未完了という仮説です。設定支援で防げる余地は12.6件と大きい一方、目標には15件の削減が必要なので、初期対応だけでは足りません。 改善すべきこと:初期設定を終えて使い始める割合を上げ、4カ月目以降も利用が続くようにする必要があります。解約の時期を先送りするだけでなく、使わなくなる原因を減らす施策を選びます。
ヒント4を開く
月初の有料契約1,000件に対し、その月の解約が30件なら解約率は3%です。30件のうち60%が3カ月以内、残り40%が4カ月目以降と仮定します。 3カ月以内は30×60%=18件で、全1,000件の1.8%。4カ月目以降は30×40%=12件で、全1,000件の1.2%。合わせて3%です。 3カ月以内の解約18件のうち、初期設定が未完了の70%に支援し、その90%が解約をやめると仮定すると、18×70%×90%=11.34件の解約を防げます。 4カ月目以降の解約12件のうち、利用低下などが原因の70%に対応し、その50%が解約をやめるなら、12×70%×50%=4.2件の解約を防げます。 対策後の解約は30−11.34−4.2=14.46件。14.46÷1,000≒1.45%で、目標の1.5%に届きます。小数の件数は、多くの月で繰り返した場合の平均です。 支援の効果も分けて考えます。初期設定支援の90%は「対象者全員に支援が届く×支援を受けた人の90%が解約をやめる」、4カ月目以降の50%は「対象者の80%に支援が届く×その62.5%が解約をやめる」という仮説です。
構造図: どう分解して解くか
3カ月以内の解約の計算根拠
改善候補
着目した理由:月30件の解約のうち18件が開始3カ月以内で、その70%が設定未完了という仮説です。設定支援で防げる余地は12.6件と大きい一方、目標には15件の削減が必要なので、初期対応だけでは足りません。
改善すべきこと:初期設定を終えて使い始める割合を上げ、4カ月目以降も利用が続くようにする必要があります。解約の時期を先送りするだけでなく、使わなくなる原因を減らす施策を選びます。
打ち手と評価
結論
初期設定の支援を優先し、4カ月目以降の利用が減った顧客への対応も試します。想定どおりの効果が出れば、毎月の解約は30件から約14.5件に減り、解約率は3%から約1.45%へ改善します。
回答例(面接での話し方)
1前提
毎月の解約率を3%から1.5%へ下げるケースです。解約率は「その月の解約件数÷月初の有料契約数」で計算します。契約開始から3カ月以内と、4カ月目以降に分けて原因と対策を考えます。
2現状分析
月の解約率 =(3カ月以内の解約件数 + 4カ月目以降の解約件数)÷ 月初の有料契約数。
月初の有料契約1,000件に対し、その月の解約が30件なら解約率は3%です。30件のうち60%が3カ月以内、残り40%が4カ月目以降と仮定します。
3カ月以内は30×60%=18件で、全1,000件の1.8%。
4カ月目以降は30×40%=12件で、全1,000件の1.2%。
合わせて3%です。
3カ月以内の解約18件のうち、初期設定が未完了の70%に支援し、その90%が解約をやめると仮定すると、18×70%×90%=11.34件の解約を防げます。
4カ月目以降の解約12件のうち、利用低下などが原因の70%に対応し、その50%が解約をやめるなら、12×70%×50%=4.2件の解約を防げます。
対策後の解約は30−11.34−4.2=14.46件。
14.46÷1,000≒1.45%で、目標の1.5%に届きます。小数の件数は、多くの月で繰り返した場合の平均です。
支援の効果も分けて考えます。
初期設定支援の90%は「対象者全員に支援が届く×支援を受けた人の90%が解約をやめる」、4カ月目以降の50%は「対象者の80%に支援が届く×その62.5%が解約をやめる」という仮説です。
3ボトルネック
着目した理由:月30件の解約のうち18件が開始3カ月以内で、その70%が設定未完了という仮説です。設定支援で防げる余地は12.6件と大きい一方、目標には15件の削減が必要なので、初期対応だけでは足りません。
改善すべきこと:初期設定を終えて使い始める割合を上げ、4カ月目以降も利用が続くようにする必要があります。解約の時期を先送りするだけでなく、使わなくなる原因を減らす施策を選びます。
4打ち手
1. 初期設定を支援する専任担当の配置。設定のつまずきを解消して利用開始につなげる。対象12.6件の90%を防げれば11.34件減る。
人員コスト増、属人化に注意して実行条件を確認します。
2. 利用状況を確認し、利用が減った顧客を支援。利用低下や担当者交代に早く対応し、対象8.4件の50%を防げれば4.2件減る。
データ整備の負荷、誤検知に注意して実行条件を確認します。
3. 年間契約への切り替え割引。契約期間は延ばせるが、利用継続の原因は改善しない。更新時の解約まで確認して補助策とする。
解約の先送り・値引きによる単価低下に注意して実行条件を確認します。
支援を受ける人と受けない人を比較し、契約開始月ごとに90日後の継続率と支援費用を確認します。
解約を防ぐ割合が初期設定支援で50%、4カ月目以降で30%にとどまる場合、30−18×70%×50%−12×70%×30%=21.18件が解約し、解約率は2.12%。
目標には届きません。まず小規模に試し、支援が届く割合と解約を防ぐ効果を確認します。
5評価と推奨
初期設定の支援を優先し、4カ月目以降の利用が減った顧客への対応も試します。想定どおりの効果が出れば、毎月の解約は30件から約14.5件に減り、解約率は3%から約1.45%へ改善します。
よくあるミス
- 解約理由を分解せず「機能を増やす」「値下げする」に飛びつく
- 解約時の引き留め(出口)だけを議論し、原因(入口の定着)を見ない
- 支援にかかる費用と、契約が続くことで増える利益を比較しない
面接官の深掘り質問
毎月の解約率が3%から1.5%になると、売上はどう変わりますか?
毎月の解約率が一定なら、平均の契約期間は1÷3%=約33カ月、1÷1.5%=約67カ月です。このケースでは契約期間によって解約の理由や支援の効果が異なるため、契約開始月ごとに、その後も契約が続く割合と月額料金から売上を計算します。顧客1社が契約期間中にもたらす利益(LTV)を比べる際は、売上からサービス提供に伴う費用を引きます。
顧客支援の担当者を増やす費用は回収できますか?
顧客支援の追加費用と、支援によって契約が続いた期間の利益を比較します。月額5万円の20社が1年間長く契約すれば売上は1,200万円。サービス提供に伴う費用を引いて50%が残るなら600万円です。支援がなくても契約を続けた顧客を除き、この利益で追加の人件費などを回収できるか判断します。
評価ポイント
- 解約を時期別に分解し、原因が異なる構造を示せた
- 解約率という結果指標の手前に、利用率という先行指標を設定できた
- 打ち手が「引き留め」でなく「価値実感の創出」に向いていた
- 年契約化の副作用(問題の先送り)を見抜けた