映画館の売上を増やすには|ケース面接の回答例と進め方
映画館チェーンの売上向上策を提案してください。
自分で設定する論点
- 売上を伸ばす対象範囲と期間を自分で定義する
- 客数、頻度、単価、購入点数、チャネルのどれを主戦場にするか決める
- 既存資産、追加投資、ブランド影響などの制約を自分で置く
- 作品(コンテンツ)は自社で制御できない前提を置くか決める
面接官への確認例
- 対象は既存館の売上でよいか(新規出店は除く)
- 上映作品のラインナップは配給に依存し、制御しにくい前提でよいか
- チケット・飲食・物販・スクリーン貸しをすべて含むか
行き詰まったときの段階ヒント
ヒント1を開く
売上 = 来場者数 × 客単価(チケット+飲食・物販)。さらに来場者は作品連動で波がある
ヒント2を開く
座席稼働率は平均15%前後。平日昼という大量の空席在庫が眠っている
ヒント3を開く
作品に依存しない売上(飲食・イベント上映・スクリーン貸し)を増やす方向がある
考え方
- 売上を来場者×単価に分け、単価をチケットと飲食・物販に分解する
- 稼働率の低い時間帯という空席在庫に注目する
- 作品依存の構造を認め、依存しない収益源を設計する
解答の流れ
- 前提: 既存館の売上を2年で15%伸ばす。作品ラインナップは所与とする
- 分解: 売上=来場者数×(チケット単価+飲食物販単価)。稼働率は週末夜に偏り、平日昼は1割未満
- ボトルネック: 平日昼の空席と、飲食購入率(3〜4割)の低さと特定する
- 打ち手: A案 会員向け平日ダイナミックプライシングとシニア・子育て層向け平日企画、B案 作品連動フードセットと座席への注文配達で飲食単価を上げる、C案 空きスクリーンの多目的利用(ライブビューイング・eスポーツ・企業研修貸し)
- 評価: A案は空席を埋めるため限界コストが低く実行しやすい。B案は購入率を1割上げるだけで大きい。C案は新規の需要源だが営業体制が必要
- 推奨: A+Bを先行し、C案で作品依存度そのものを下げる
回答例
【前提】既存館の売上を2年で15%伸ばすことを目標にし、上映作品は配給に依存するため所与とします。 【現状分析】売上=来場者数×客単価で、客単価はチケット約1,400円+飲食・物販約400円です。来場は週末と話題作に集中し、平日昼の座席稼働率は1割を切ります。つまり「空席」という在庫が大量に眠っています。また飲食は購入率3〜4割にとどまり、利益率が最も高いのに取りこぼしています。 【ボトルネック】平日昼の空席在庫と、飲食購入率の低さ。この2つは作品に依存せず自社で制御できる変数です。 【打ち手】1. 平日の需要創出: 会員向けの平日割・時間帯別価格、シニア向けの名画企画、子連れ向けの照明明るめ上映。2. 飲食単価の向上: 作品連動の限定フードセット、座席からのスマホ注文・配達、前売りチケットとのセット販売。3. 空きスクリーンの多目的化: ライブビューイング、eスポーツ観戦、企業の研修・発表会への貸し出し。 【評価と推奨】平日割は空席を埋めるため限界コストがほぼゼロで、客単価は下がっても増収に働きます。飲食は購入率を10ポイント上げるだけで売上3%相当の効果があります。スクリーン貸しは作品不振期の下支えになります。推奨は、まず会員データを使った平日価格施策と飲食セット販売を実行し、並行して多目的利用の営業を立ち上げる構成です。
打ち手の評価表
| 打ち手 | Impact | Feasibility | 期間 | リスク |
|---|---|---|---|---|
| 平日の会員割・時間帯別価格 | 高 | 高 | 3カ月 | 既存客の単価低下(移転需要) |
| 飲食セット販売・座席注文 | 中 | 高 | 6カ月 | オペレーション負荷 |
| 空きスクリーンの多目的利用 | 中 | 中 | 1年 | 営業体制の新設が必要 |
よくあるミス
- 「良い映画を上映する」という制御不能な変数に依存した提案
- チケット値下げだけを語り、飲食・物販の存在を忘れる
- ダイナミックプライシングの既存客単価低下リスクに触れない
面接官の深掘り質問
平日割で週末客が平日に移るだけでは?
週末はほぼ満席の時間帯が限られ、移転しても週末の空きは別の客で埋まる余地がある。純増か移転かは会員データのA/Bで検証する、と効果測定の設計で答える。
動画配信時代に映画館の長期戦略はどうあるべきですか?
家で代替できない「体験」(音響・スクリーン・同時性・イベント性)への特化と、不動産としての多目的活用。映画上映業から時間貸し体験業への再定義で答える。
評価ポイント
- 作品は制御できないという業界構造を前提化できた
- 空席=在庫という発想で平日昼に注目できた
- 飲食の高利益率という収益構造を踏まえられた
- 作品依存を下げる構造的な打ち手(多目的化)まで出せた