地方温泉街の観光客を増やすには|ケース面接の回答例と進め方
衰退が続く地方温泉街の観光客を増やす施策を考えてください。
自分で設定する論点
- 来客を増やす対象者、場所、期間を自分で絞る
- 認知、訪問動機、回遊、再訪のどこに課題があるか仮説を置く
- 既存施設、地域連携、予算、運営体制をどう使うか考える
- 宿泊客と日帰り客のどちらを重視するか自分で決める
面接官への確認例
- 対象は旅館20軒規模・ピーク時の半分まで宿泊客が減った温泉街、と置いてよいか
- KPIは宿泊客数か、観光消費額か
- 個別旅館ではなく温泉街全体(組合・自治体)の立場でよいか
行き詰まったときの段階ヒント
ヒント1を開く
観光客を分解: 誰が(客層)×何のために(動機)×どうやって知り(認知)×どう来るか(交通)。昭和の団体旅行モデルから何が変わったか
ヒント2を開く
現代の主流は個人・少人数旅行。大宴会場型の旅館と、個人客のニーズ(食事の自由・体験・写真映え)のミスマッチ
ヒント3を開く
温泉街の魅力は個別の旅館ではなく「街歩きの体験」。街全体を一つの旅館と見立てる発想がある
考え方
- 団体旅行から個人旅行への需要構造変化と、供給側(旅館)の不適合を特定する
- 街全体を一つの宿と見立て、共有資産(外湯・街並み・食べ歩き)で体験を作る
- ターゲット客層を絞り、認知→予約→滞在→発信の順で設計する
解答の流れ
- 前提: 旅館20軒の温泉街、宿泊客がピークの半分。3年で宿泊客数と観光消費額を3割増、と置く
- 現状分析: 需要は団体宴会型から個人・少人数へ構造変化。設備の古い旅館と現代ニーズのミスマッチ、街に夜歩ける場所がない
- ボトルネック: 「泊まる理由になる体験」の不足と、旅館単位でバラバラの集客
- 打ち手: A案 街全体の体験化(外湯めぐり・浴衣で食べ歩き・夜のライトアップ)を組合主導で整備、B案 ターゲット特化のリブランド(例: 20〜30代女性の「レトロ温泉街」路線でSNS発信)、C案 廃業旅館の再生(自治体+民間ファンドでリノベし、高単価の小規模宿を誘致)
- 評価: A案は共有資産で全旅館が恩恵を受ける土台。B案は認知の起爆剤。C案は供給の質を変える中期投資
- 推奨: 街の体験化とターゲット発信を先行し、成功の兆しを見せて再生投資を呼び込む
回答例
【前提】旅館20軒、宿泊客がピークの半分に減った地方温泉街を対象に、3年で宿泊客数・観光消費額を3割増やす目標を置きます。主体は旅館組合+自治体とします。 【現状分析】需要は団体宴会旅行から個人・少人数旅行へ構造的に変わりました。しかし供給側は大宴会場型の旅館のままで、個人客が求める「食事の自由・体験・写真映え・街歩き」とミスマッチを起こしています。また各旅館がバラバラに集客しており、温泉街全体としての魅力が編集されていません。 【ボトルネック】旅館の中で完結する昭和型モデルのまま、「街に泊まる理由」を作れていないことです。 【打ち手】1. 街全体の体験化: 外湯めぐり手形、浴衣で歩ける通りの整備と食べ歩き店の誘致、夜のライトアップ。街全体を一つの旅館と見立て、廊下=通り、大浴場=外湯として編集する。2. ターゲットを絞った発信: 万人向けをやめ、例えば20〜30代女性向けの「レトロ温泉街」としてSNS・メディアに発信する。3. 廃業旅館の再生: 自治体と民間資金でリノベーションし、個人客向けの小規模高単価宿や日帰り施設に転換する。 【評価と推奨】街の体験化は全旅館が恩恵を受ける共有インフラで、手形や食べ歩きは投資も小さい。ターゲット特化は「誰にでも」より認知効率が高く、城崎や熱海の再生でも同じ構図が機能しました。再生投資は時間がかかるため、先行施策で人流の回復を見せてから呼び込みます。推奨は、体験化+特化発信で需要を作り、その実績で供給(宿)の再生投資を誘発する順序です。
打ち手の評価表
| 打ち手 | Impact | Feasibility | 期間 | リスク |
|---|---|---|---|---|
| 外湯めぐり・食べ歩きなど街の体験化 | 高 | 中 | 1年 | 旅館間の合意形成 |
| ターゲット特化のリブランド発信 | 中 | 高 | 6カ月 | 既存客層の離反 |
| 廃業旅館の再生・高単価宿誘致 | 高 | 低 | 3〜5年 | 投資回収の不確実性 |
よくあるミス
- 「SNSで発信する」だけで、泊まる理由(体験)の設計がない
- 全客層向けの総花的な施策でメッセージがぼやける
- 旅館単体の改善に終始し、街全体の連携に触れない
面接官の深掘り質問
旅館同士は競合です。連携できますか?
「街に客が来ないと全員が沈む」という共通利益を明確にし、外湯手形のような全員が得する施策から始める。成功体験→深い連携の順で信頼を作る、と実行論で答える。
インバウンドはどう位置づけますか?
個人旅行化・地方分散のトレンドに合致し有望。ただし多言語・決済・送迎の受け入れ整備が前提なので、国内個人客向けの体験化がそのまま土台になる、と順序で答える。
評価ポイント
- 団体→個人という需要の構造変化を出発点にできた
- 街全体を一つの宿と見立てる編集の発想があった
- ターゲットを絞る勇気(万人向けをやめる)を示せた
- 短期の需要施策と中期の供給再生を順序立てられた